イスタンブール2日目、ホントは朝一番でトプカプ宮殿に行くはずだったのですが、トルコ人のおじさんに朝は混むから3時頃にしなさいと言われたので、予定を変更してリュステムパシャ・ジャーミィに行きました。
天才ミマール・シナンの隠された恋心
オスマン帝国は、スレイマン大帝の時に最盛期を迎えたのですが、そのスレイマン大帝の下で大宰相を務めたのがリュステムパシャです。このリュステム・パシャ・ジャーミィーは、彼が依頼して、あの天才建築家ミマール・シナンが設計しました。大宰相リュステム・パシャの夫人は、スレイマン大帝とヒュッレムの娘、ミフリマです。
前日訪れた『ミフリマ・スルタン・ジャーミィ』は、彼女のために作られたモスクでした。愛らしいミフリマ・スルタン・ジャーミィ
ミフリマ・スルタン・ジャーミィの解説には必ず出てくる天才シナンの悲恋物語ですが、リュステムパシャ・ジャーミィの解説にはほとんど出てきません。
『ミフリマ・スルタン・ジャーミィ』があまりに愛くるしく可憐なため、まことしやかに語られたお話だったのかもしれません。
でももしかしたら、天才ミマール・シナンは、やっぱり彼女に恋していて、彼女の夫のためのモスクを建てなくてはならないのはちょっと皮肉だけど、その屈折した思いと彼女への叶わなかった想いを重ねてこのモスクを設計したのかもと妄想すると、青のタイルに幻の赤が映える美しいイズニックタイルで埋め尽くされたモスクの壁にシナンの恋心☆が垣間見えてくるから不思議です。
リュステム・パシャ・ジャーミィへの行き方☆入り口に気をつけて
トラムの「エミノニュ』駅を降りると、こじんまりとしたリュステム・パシャ・ジャーミィーは見えているので、そちらに向かって歩きます。するとにぎやかな問屋街に入っていきます。
問屋街に入ってしまうと、リュステム・パシャ・ジャーミィーは見えなくなってしまいます。実はこのモスクは建物の2階にあるのです。1階は商店が入っていてその賃料がモスクの維持費に当てられているのだとか。よく考えられたシステムですね。
モスクへの入り口。見逃さないようにね。わからなければ道行く人に聞いてみて。気軽に教えてくれます。
ちょっと後ずさりしたくなる入り口だけど、思い切って階段を上がってみましょう。
素敵なテラスに出てきます。外壁にもタイルがびっしりで テンションが上がりますね。
スカーフを被って、靴を脱いで、いよいよ内部へ。混んでなければ靴は下駄箱にいれても大丈夫です。
リュステム・パシャ・ジャーミィーは「ヨーロッパで、もっとも美しい歴史的モスク」(newsweek誌)に選ばれました
床からドームの下までイズニックタイルが埋め尽くしています。すごい!まさに圧巻です。
他のモスクでは、上の方や端の方の一部だけにタイルが使われているので、間近に見ることはできなかったのですが、ここでは壁のすみずみまで見事なタイルで覆われていてじっくり目の前で見れます。
タイルの模様の種類も豊富。ありとあらゆるタイルパターンが集結しています。こじんまりとした外観からは想像できない内部の美しさ。
タイルの数にも驚きですが、1枚1枚のタイルに描かれた職人技の模様、さらにそれらが集まって創りだされるパターンの優雅さ。うっとりです。
リュステムパシャ・ジャーミィの幻の赤
白と青が主体のイズニックタイルの中にところどころハッと目につく赤。「サンゴの赤」または「トマト赤」と呼ばれるこの赤色は16世紀に出現し、ほんの短い間しか作成されませんでした。その後同じ色を出すことができなくなったのです。
光沢があり盛り上がりのある赤。この赤は膨張してヒビが入りやすいのです。でもタイルを間近でよく見ると、赤の間に細い白の空間があって、膨張した際のひび割れを防いでいます。職人のなせる技ですね。
盛り上がる赤
イズニックタイルは16世紀の中頃に全盛期を迎え、当初の青に加え、濃紺、エメラルドグリーン、水色、そしてイズニック独特の「赤」を使い華やかな多彩タイルへと変貌を遂げたのです。
高く盛り上がった赤は上品な光沢を放ち、それ以前に見られた中国の赤とは色や質感において全く異なったものでした。
青、紫、黒、薄緑、緑、水色、そして赤の多彩な色彩で表現された、カーネーション・バラ・ヒヤシンス・ザクロが咲き乱れる花園。植物の躍動感を感じる見事な絵付けです。
おみやげも忘れずにね
下駄箱付近のおみやげ屋さんはとても優秀!
おすすめは本!リュステム・パシャ・ジャーミィーとイズニックタイルについて書かれたオールカラーの本です。
それとポストカードもおすすめ。3組買うとリュステム・パシャ・ジャーミィーのタイルパターンがすべて揃います。と、おみやげ屋のおじさんが言ったので私は3組買いました。たしかにパターンは全部違っていました。でも3組まとめて買ってもまけてはくれませんでしたけど。
イスタンブールに来て美しいタイルに心奪われた方には、ココは必見の観光スポットです。エジプシャンバザールのすぐ近くですので、ぜひ足を伸ばしてみてください。